事故車とは、ある条件に基づき事故歴が付き、事故車と呼ばれるようになります。
その条件とは「事故損傷修理」を行うことです。
たとえ小さな損傷だとしても少しでも手を加えていれば、事故歴有りとなってしまいます。
今回はその損傷について、どの程度の損傷で、どの程度査定額に変化が出てくるのかを検証していきます。
事故車の損傷修理・小さな損傷による査定額の変化
・前面の内部(ラジエーターコアサポート)を損傷した場合
・後面の内部(バックパネル)を損傷した場合
まず、小さな損傷による査定額の変化について上記2点の内容を見ていきます。
この2点は非常に多い事故の損傷で、追突などで加害者側は前面、被害者側は後面に損傷を受けることが多いです。
軽く当たった程度では内部までの損傷はありませんが、見るからにグシャっとなっているような事故は、間違いなく内部まで損傷しています。
この場合、内部の、
・前面の内部(ラジエーターコアサポート)を損傷
・後面の内部(バックパネル)を損傷
上記は間違い無いといってもいいほど破損していますので、内部までの損傷に及ばない事故車より、査定額の変化は、およそ10%程度のマイナスになります。
これらの部品は損傷しやすく、衝撃を吸収するために比較的壊れやすい設計になっているため、軽い事故でも壊れる事が身体に影響が出ず、よしとされます。
壊れやすい部品ですので小さな衝撃でも事故車となってしまいますが、その後の走行に支障は少ない箇所と言える反面、以降の事故を考えると新しい部品に取り替えるべきでしょう。
中程度の損傷による事故車の査定額変化
・タイヤを支える軸を損傷した場合
・ピラーと呼ばれる柱を損傷した場合
上記2点は中度の損傷として比較的多い事例です。
どちらもタイヤ周りの変形により、走行不可能となる可能性が高くなってくるでしょう。
こういった事故をした場合、タイア付近の部品の間に大きな隙間などが発生するため、ドアにまで影響がある場合もあります。
放置すると、ドアが開かないなど、大きな事故につながる可能性が出てくるので、中度の損傷からは必ず修理に出すことをお勧めします。
また、タイヤを支える軸付近に関しての損傷は、側面からの衝突の際に発生してきます。
そこには「ピラー」と呼ばれる柱となる部品があり、ビラーが損傷することで以降の衝撃は吸収してくれなくなりますので、注意してください。
仮に側面からではなく、前面からの事故でこのピラー部分まで損傷してしまうような場合は、次項目に挙げる「大きな損傷」となっているでしょう。
このピラー類は強固に作られているため、基本的には壊れない部品として使用されていますが、ピラーが損傷してしまえば、衝撃を吸収することは出来ず、最悪の場合、屋根付近にまで事故の衝撃がきてしまいます。
ビラー損傷の場合の査定額変化はおよそ30%~位の減となっています。
大きな損傷による査定額の変化
ここでお伝えしている「大きな損傷」とは、屋根が大きく潰れてしまったり、完全に原型を留めていないような状態を表します。
この記事の著者は自動車修理を専門としており販売も手掛けておりますが、今回は以前に見掛けた大きな損傷の車の事例を丸々ご紹介します。
車種:レクサスLS600 h (新車価格1200万円)
走行距離:数千km
綺麗な状態であれば、中古車市場で1000万円程度は価値のある車です。
この時の車の状態は、屋根が完全に潰れており、座席近くまで押し潰されていました。
横転したのではないかと推測されていますが、車全体に傷や変形などが見られます。
業者専用のカーオークションに出し、その画面を見てみると、車の価格は300万円程度の入札でしたので、驚愕した覚えがあります。
中古市場では1000万円以上価値のあった車が300万円まで値下がりしてしまう。
このような原型すら留めない大きな事故の損傷は、70%程度、査定額が下落してしまうということです。
後日、新たにカーオークションに出品されているのを見掛けましたが、外観が綺麗に修理され、700万円の値で一般に売られていましたね。
ちなみにこれは、300万円で買い取り、修理の工程で多くとも150万円程度と仮定すると、250万円以上の利益を買取業者が出した車というようにも受け取れます。
このような大きな損傷の車を手放す場合は、必ず「事故車専門の買取業者」に依頼をかけて査定してもらった方がいいでしょう。
この差額分の250万円の利益幅を、多くの専門業者は車の持ち主により還元してくれます。
まとめ
このように、事故や損傷の大きさによって査定額が変化していくことが理解できたかと思います。
事故を起こした際には、どこをどのように修理したのかを業者へ問い合わせ、自分の車の価値を知っておくことが大切です。
また、綺麗に修理されることで「事故車扱い」にならないケースもあります。
この場合の売買価格は事故車として反映されることはないので、価格減になることもありません。
修理業者の技術はここでも活きてきますので、信頼の置ける修理業者に依頼することが、後に大きなメリットをもたらしてくれることでしょう。
よく聞く「ケチをした修理」を業者に依頼する人もいますが「普通車以上の車」の場合は、やめたほうがいいと私は思っています。
その一つのケチが影響し、後の車乗り替え時期に、数十万円も減額の対象になりかねません。
事故により故障等も考慮するならば、その時々の保険等も考えた上で、最善の修理を取り入れ、後の車ライフをより長く楽しめるようにしておきましょう。